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かつては、文系で大学院に進学する人はかなりの少数派でした。学者になることを目指す人、花嫁修業中に学校にも行くパターン、病気療養などの期間に籍を置いておくなどかなりの少数派でした。しかし、1991年に文部省(今の文部科学省)が、大学院拡充政策を打ち出して以来は大学院に進学する人が増えました。当時6万人程度だった大学院生は今では30万近くになっています。
アメリカ合衆国のバラク・オバマ大統領は、オクシデンタル大学(1、2年でリベラルアーツを学び)→コロンビア大学(3、4年で国際関係論専攻)→ハーバード大学大学院(法学)というご経歴で、小泉進次郎衆議院議員は、関東学院大学経済学部→コロンビア大学大学院(政治学)だったり、アメリカの大学院には多様な人がいて文系の大学院進学はメジャーです。
少子高齢化を見越した文部省は、大学院を拡充して、学びたい時に人々が学べる生涯学習の社会にしようとしてきました。そして、今では、

・学者を目指す人
・専攻を変えて学びたい
・よりよい環境を求めて他校に移籍したい
・もう少し学びたい
・あと2年間学生でいてまだ働きたくない
・趣味を探究してみたい
・生涯学習
・リカレント教育(社会人の再教育)
・リスキリング(社会人の学び直し)
・就職活動のやり直しのため
・転職活動のため

など、多様な目的からの文系の大学院進学もじわじわと増えています。

文部省の意向を汲み、各大学は新しく研究科を作ったり、従来からある大学院を再編するなどして、多様な受験生を求めるようになっています。東大には、新領域創成科学研究科、情報学環・学際情報学府といった学部はない新しいタイプの大学院ができています。また、早稲田には、学部がない大学院が数多くできましたし、慶應義塾も同様ですし、全国の旧帝国大学にも大学院の研究科が増えました。
平日夜間と土曜日に通えばいい社会人大学院、学術研究というより立派な職業人の育成を主眼とした専門職大学院、通信制大学院、学部がない独立研究科など多様になっています。
また、入試科目はかつては、英語ともう一つの外国語の合わせて2ヶ国語の和訳、専門科目、面接というものが主流でしたが、今では2ヶ国語が課される大学院は一部だけになっています。

かつての入試科目は、
・2ヶ国語の和訳・専門科目・面接

今は、
・2ヶ国語の外国語・専門科目・面接
・英語の和訳・専門科目・面接
・英語以外の外国語の選択・専門科目・面接
・TOEFLのスコア提出・専門科目・面接
・TOEFLのスコア提出・面接
・TOEICのスコア提出・専門科目・面接
・TOEICのスコア提出・小論文・面接
・TOEICスコア提出・面接
(その他の英語外部テストのスコア提出でOKのところも多数)
・英語は記号選択方式・専門科目・面接
・専門科目・面接
・小論文と面接
・オンラインで小論文と面接
・面接のみ
・オンライン面接のみ

など、多様化しています。

外国語の能力でアピール、専門科目の知識でアピール、面接だけで勝負、英語は避けて受験など、各自の都合に合った入試科目の大学院受験を選べるようになっています。文部科学省の意向に合わせて大学院を増やしたものの、思ったほど受験生が集まらないため、学生が欲しいところは多様な選抜方式を取り入れています。
しかし、多くの人の大学院入試は昭和の頃のイメージのままで、学部時代に徹底的に勉強に打ち込んだ人が受験する、外国語が得意じゃないと無理、仕事がある社会人は通えない、などと思ってしまっており、思ったほどの受験生が集まらずに困っているところが少なくありませんので、うまく情報を集めて、受験戦略を立てた人には、有名校進学のチャンスが転がっています。

大学受験は、国立の一般入試(英数国理社)、私立入試(英数理、英国社の3教科、2科目、1科目など)、旧AO入試の総合型選抜、自己推薦、指定校入試、上智などのキリスト教系の推薦入試などが入試の多様化が進んでおり、各自が自分にとって都合がいい入試方式を選べる時代になっていますが、大学院入試でも同じように、多くの入試方式から自分にとって都合がいい方式を選べるようになっています。
学校基本法が変わり、大学を卒業していなくても、大学院が大卒同等以上と認めた人には受験資格をくれて、大学卒でなくても大学院に入れる可能性が開けました。どこの大学院でも大学を出ていないけれどもやる気がある人の受け入れに前向きではありませんが、例えば、MARCHの社会人大学院の中には、かなり多くの非大卒の人を受け入れてくれるところもあります。例えば、芸能人の菊池桃子さんは戸板短期大学卒からミドル世代になってから法政大学大学院政策創造研究科に合格して修了なさり、活動の幅を広げていらっしゃいます。
また、研究テーマも多様化しています。かつては、まじめで硬いテーマが当たり前でした。近代化、ナショナリズム、マルクス、シェイクスピア、人権、人生論、都市化といったようなテーマをするものでしたが、今では、まじめで硬いテーマ以外に、アニメ、マンガ、映画、ドラマ、ゲーム、ジャニーズアイドル、AKB48や坂道シリーズ(乃木坂46、欅坂46、日向坂46)といった女性アイドル、K-POP、コスメ、ファッション、プロレス、格闘技、鉄道オタク(駅弁などの食べ鉄、乗り鉄、撮り鉄、鉄道女子など)、フィギュア、ギャル文化、ヤンキー文化などやわらかいことの研究も盛んになっています。東京大学出版会から『アイドルメディア論』というアイドルを学問的に研究する方法の本が出版される時代になっています。
大学入試は数多くの本が出版されていたり、インターネット上に情報がありますが、大学院入試は、昭和のままのイメージが広まっています。平成時代に大学院入試は本当に多様化し、今は大学院が多様化した令和の時代です。
そうは言いましても、従来通り一部の秀才だけを集めて少数先鋭でやっている大学院、給料が一緒だったら学生は少ない方がいいと思っている教授が多いために外部の人が入りにくい大学院もありますし、定員を埋める気がない大学院もありますし、その一方で外部生を多く入学させて多様な人たちでやっていきたい大学院、50人や80人や100人の定員をしっかり埋めるためにそこまで学力がない人も入れてくれる大学院もあります。
激動している大学院入試の実態を究進塾で把握して、人生の選択肢を広げてみませんか?お気軽にご相談ください。

【まとめ】
・大学院は激動し、多様化している。
・進学目的が多様化
・入試方法が多様化
・研究テーマが多様化
→大学院入試は情報をしっかり把握して、うまく受験戦略を立てると、合格を引き寄せやすくなっています。

究進塾 講師

究進塾の講師が執筆しました。

 


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